腰痛
腰痛について
数百万もの患者がおり、一生で80%の人が経験するといわれる腰痛ですが、その原因や治療法について今でもはっきりしていないところがあるのが腰痛です。
腰痛になった方はまず整形にかかり、レントゲンを撮ってもらうと思いますが、そこで骨には異常がないと言われた方が多いのではないでしょうか。当院におみえになる方の多くも、「骨には異常がないと言われた」「原因がはっきりしない」というものです。腰痛患者数約2800万人のうち85%は原因が特定できないと言われていますので、多くの方ががよくわからないと来院されるのももっともなことです。
異常がないのに痛みがあるというのは変な話ですが、整形で骨には異常はないというのは、骨にはヒビが入っていない、骨折もしていない、変形もしていないという意味であり、レントゲンの画像上は異常が見当たらないということです。こういう場合、次に疑うべきは、筋肉の問題と骨格の問題です。
カイロプラクティック発祥であるアメリカでは腰痛になったときにかかる医療機関はまずカイロというぐらい一般的ですが、日本でのカイロのイメージはあまりよくありません。なにをされるかわからない、ボキッとされるのが怖い、もっと悪くなるのではなどの印象をお持ちの方が多いのが現状です。
国家資格として確立されていないことやいい加減な学校の乱立で技術的な差があまりに大きいことは事実です。私も知らないカイロには怖くて行けません。
しかし、腰痛を考えるとき、骨格の骨組みの問題、そして筋肉の問題は治療に際しての2本柱であり、これらを避けて通ることはできません。「骨には異常はない」のですから、では他のところ骨のゆがみの問題ではないか、筋肉的な問題ではないかと考えるべきでしょう。そういう意味では、カイロや整体というのは、腰痛治療へのアプローチとしては正しいのですが、さてどこにかかるかが大きな問題です。
本来であれば、保険の使える整形で治れば一番いいのですが、整形では異常はないと言われる、あるいはレントゲンで骨と骨の間が狭い、椎間板が減っていると言われたとしても、ではこの痛みにどう対処すればいいのかということになると痛み止めなどの対処療法に限られてしまいます。いったいどこにいったらいいのかわからないというのが現状ではないでしょうか。
腰痛の病名
腰痛の原因となる病名(種類)は複数あるのですが、これらの病名ははっきり確定診断がつくものとつかないものに分かれています。
検査でわかる腰痛
腰痛の病名(種類)はいろいろ分類されると上で述べました。そのなかで病院の検査ではっきりするものは次のものです。
これらの腰痛はレントゲンやMRIなどの検査でその原因がはっきりとつきとめられる腰痛です。腰痛の原因は様々ですので、検査でわかるものはきちんと検査を受け、原因をはっきりさせることはとても大切なことです。
- 椎間板ヘルニア
- 脊柱管狭さく症
- 脊椎分離・すべり症
- 脊柱靭帯骨化症
- 骨そしょう症
- 内科的な疾患(癌、腎結石など)による腰痛です。
検査でわからない腰痛
次に検査ではわかならない腰痛は次のものです。
検査でわからないの?と思われるかもしれませんが、前述のように腰痛を考えるとき骨格のバランスの問題と筋肉的な問題は避けて通れません。
- 筋筋膜性腰痛(脊柱起立筋などの筋肉の炎症で痛い)
- 椎間関節性腰痛(痛みの原因が椎間関節周囲にあるとされる腰痛)
- 腰痛症(原因不明とされる腰痛)
レントゲン、MRIではっきり写るものは確定診断としてでますが、 レントゲンやMRIなどの検査にひっかからないものは原因のよくわからない腰痛となってしまいます。
検査でわからない腰痛に分類したものは現代医学的には病名はついているのですが、原因ははっきりしない腰痛といえます。
病名がついていて原因がはっきりしないというのも変な話ですが、これらの腰痛と診断されれば、それはとてもあいまいなものです。
たとえば、検査でわかるに分類したものと比較して考えるとわかりやすいのですが、腰椎椎間板ヘルニアと診断されれば、腰のどの部分にヘルニアが出ているかというのがMRIで写りますので、 何番の椎間板ヘルニアの問題かがわかります。脊椎分離・すべり症にしても腰のどの部分が分離し、すべっているのかレントゲンで確認できますし、脊柱管狭窄症にしてもMRIでどの部分が狭くなっているということがわかります。
一方、筋筋膜性腰痛と言われたとしても、それを「椎間関節性腰痛の可能性はないですか?」と聞かれれ、「それはありません」と明確に答えられる人はいないでしょう。勿論、私もわかりません。
あるいは椎間関節性腰痛と言われたとしましょう。椎間関節は腰にはいくつもあるのですが、「ではどこの椎間関節か?」と聞かれ、痛みの位置からだいたいの推測で答えることはできても、絶対ここですとまでは言えないですし、 「それが筋筋膜性腰痛の可能性はないか?」と問われば、やはりそれもよくはわからない、はっきりと断言はできないというのが本当のところでしょう。
検査でわからない腰痛に分類したものはいくつかの病院を掛け持ちしてから来院された患者さんに伺うと、診断名がバラバラなことが珍しくありません。これらは問診や症状から診断されるため、担当の先生によって判断が分かれるということでしょう。
これに対し、検査でわかるに分類した腰痛は、診断が担当医によって異なるということは普通ありません。これらは、レントゲン、MRIなどで客観的に判断された診断であり、だれが診断しても椎間板ヘルニアは椎間板ヘルニアであり、確定的な診断です。
内科的な病気で考えるとわかりやすいと思うのですが、どこかの病院で糖尿病と診断がついたものが、他の病院でそれが腎臓病と診断が変わってしまうことありえません。ここまで極端な話ではありませんが、腰痛でつけられる診断はその実態を正確にあらわしていないと言えるでしょう。 このようにみてくると、レントゲンやMRIで異常のない腰痛はすべて腰痛症(原因はっきりしない腰痛)としても差し支えないのではと考えています。
現代医学の進歩は目覚しいものがあります。レントゲンやMRIを撮ってもらい体の状態を確認することも勿論必要なことですが、データにでない、画像で確認できないと「異常なし、骨には問題がなし」となってしまうところが盲点だと思います。
腰痛の原因
腰痛の原因はなんでしょうか。腰痛の原因として運動不足や年だからなどとよく言われますが、スポーツをしている人でも腰痛になる人は多くいますし、腰の痛くないお年よりもいらっしゃるわけですからそれだけで説明できるものではありません。
病院の検査で原因がはっきりしている場合は別として、原因がわからない、どこも悪くないと言われて来院される患者さんによく聞かれることは「原因はなんですか?」 という質問です。そこで私が「原因はこれです」と答えらるわけではありません。
しかし、シップや安静にしていても治らない、痛みがとれないという方は、どこかにその原因があるはずなのです。レントゲンで骨には異常はない、MRIも撮り異常は見つからないのですから、、骨格のバランスの異常ではないのか?、筋肉的な問題ではないのか?を推測すること、そして実際に問題部分を治してみて症状が軽減しないかをみていく、そういう過程で原因を突き止めていくしか手はありません。
その原因はどこか、痛みを引き起こしてる要因がどこかにないかを探ることから入る治療を受けることがその原因を知る一歩であり、治療への第一歩でもあります。
腰痛はなぜ起こるか?
今までは4本の足で背骨を支えていたものを2本の足で支えなければならないという構造的弱さに加え、一日で座っている時間が長いなどの社会的環境、過労、日常の不良姿勢などいろいろな要因が重なり合って腰痛は起こります。
腰痛の治療
腰痛と言っても様々原因から起こりますので、その原因がなにかによって腰痛治療の仕方、方法は当然違ってきます。
原因がはっきりしている腰痛に分類したものは、原因はわかっているのですが、どれも治りにくいものです。原因がわかっているのですから、治りやすそうなものですが、どれも神経への物理的な障害が症状の原因で、ヘルニアは髄核という部分の神経圧迫が痛みの原因、分離すべり症は腰椎がずれて神経根部への刺激が痛みの原因、脊柱管狭さく症は神経のとおり道である脊柱管が狭く神経を圧迫するのが痛みの原因というようにそれぞれに原因があり、痛みとの関係がはっきりしています。
これらを原因とする腰痛は残念ながらそれらの原因部分を取り除くことが難しいことが多いのです。どれも治らないというわけではないのですが、次に述べる原因のはっきりしないものと比べると治療の難易度は高いですし、時間がかかるケース、治らないものがあることも事実です。特に脊柱管狭窄症などは一番難しいケースでしょう。しかし、完全には治らないものでも症状が軽減すれば、少しでも楽になれば患者さんにとってはいいことですので、現在の症状から少しでも軽減は可能かということに治療の力点を置くことになります。
逆に原因のよくわからない腰痛(レントゲンやMRIでも異常がない)は少なくとも物理的な障害はないのですから、他の可能性、体のバランス的な問題はないか、骨組みに問題があって、局所的な負担が関節や筋肉にかかっていないかなど構造医学的な見地から原因を探してみることが出来ます。
なかなか治らない、たびたび繰り返す方は腰部に歪みを持っている方が多いと感じます。特に左右のどちらか一方にでる痛みは構造的問題がある可能性が高いと考えていいと思います。 歪みと言ってもほんの数ミリのわずかなものです。痛みを起こしている問題点がどこにがあるかを探し出し、正しい方向に修正できるかが腰痛治療のポイントです
「どういう治療法ですか?」とよく質問を受けますが、痛みの原因は必ずどこかにあるはずなのです。それをまず触診、視診、動診などから探してみる、疑ったところを治してみる、それが当院の治療の基本です。
病院での腰痛治療
病院で行われる治療はシップ、痛み止めなどの鎮痛消炎剤、筋弛緩剤、ビタミン剤(B12など)、牽引、電気治療、コルセットの着用、腰痛体操などの運動療法、椎間板ヘルニアなどで下肢痛が強いときはブロック注射などがあります。
腰痛の治療期間
同じような症状を訴える方でも原因は様々でまた同じような原因であっても治り方というのは人それぞれで大きく異なります。
風邪をひいてもすぐに治る人もいれば、なかなか治らない人もいるようにその人の持つ回復力や治癒力も違いますし、悪い状態にもいろいろな程度があります。長い時間かけて悪くなったものは当然治療も長くかかりますし、急性のものほど早く治ります。
なるべく早くよくなるよう最大限努力していますが、体に無理にないよう治療すること、いい状態が長く続くようになること、そして一回ごとに改善を実感していただくことが大切だと思います。