ぎっくり腰は癖になる、繰り返すというのを聞いたことがある方は多いと思います。
どんな症状でもそうなのですが、まったくの健康体の方がいきなり病気になることは基本的にありません。どんな症状であっても、いままでの積年の積み重ねの問題が背景にあり、その結果として、病気(症状)というものは出るものです。
筋骨格系の問題から起こる身体の痛みの症状も一緒で急な痛みであっても、それにはいままでの問題の蓄積という背景が隠れています。
ぎっくり腰の場合、急に重たいものを担いだなど一部例外もありますが、ぎっくり腰を繰り返す、頻繁に痛みがでる場合は、かならず以前からの腰の調子が悪いという問題を常に抱えているはずです。
下の図をご覧ください。
図の右側は脊柱が仙骨・骨盤の上に安定して乗っかっています。バランス的に安定した状態ですので、当然腰を急に痛める可能性は低いです。一方、頻繁にぎっくり腰を起こす方の一例ですが、左の図のような状態になっている場合が多く見られます。
土台である仙骨・骨盤の歪み、その上の脊柱の曲がりなどバランス的に不安定な状態です。こういう状態にあると、特に重いものをもったわけでもなく、椅子から立ち上がっただけ、人に呼ばれて振り向いたらなど通常の生活のなんでもないことでも発症してしまいます。それはもとから腰への負担が多いのですから、なるべくしてなったと言えます。
左の図のような状態にあることを、普段本人が自覚できていれば、自覚症状は左腰にあることが多いはずです。脊柱の左側「引っ張られる」側に違和感を感じるのが普通で「緩む」ほうには症状が出にくいものです。普段から腰に不安を感じていれば、その結果と思えば、ぎっくり腰になっても納得はいくと思います。
一方で、慢性症状で悪い状態に慣れてしまっていると、ご自分の腰の調子がよくないことを自覚できていない方もいらっしゃいます。こういう場合では、「なんでこんなことでぎっくり腰が起きるの?」と思ってらっしゃるのではないでしょうか?
しかし、普段は絶好調であったものがなにもしていないのに急な激痛ということは通常考えにくいのです。以前はなんとなく不調を感じている時期があっても、やり過ごしているうちに感じなくなって(本人は治ったと思っている)、それが限界を超えて急な痛みとして現れる、ぎっくり腰はそういう経過を経ることが多いと思います。
では、肝心のどうしたらぎっくり腰を繰り返さなくなるか、予防できるかですが、もう申し上げるまでもなく、右の状態を→左の状態に整えてあげて、腰が安定すれば、おのずとぎっくり腰は起きにくくなります。
急なぎっくり腰は適切な管理をしていけば、その多くは防ぐことができます。