治りますか?
2017/02/23| カテゴリー:臨床奮闘日記
この質問も患者様によく聞かれるもののひとつです。
100人の患者さまがいらっしゃって、100人全員が治れば一番いいのですが、残念ながらそうはいきません。治療院なのに治らない・・治せない・・リスキーなテーマですが、ここは治療院で日々起きていることをお話して千駄木鍼灸整骨院の中を覗いていただくのがひとつのテーマですので、正直にお話していこうと思います。
治療院には日々さまざま症状の患者さまがいらっしゃいます。それぞれの患者様の体の状態は急性症状~慢性症状~超慢性症状(もう30以上も前からなんですなど)さまざまであり、病歴、基礎的疾患の有無、年齢などいろいろな背景をもって来院されます。
まったく同じ条件のものはひとつとしてありません。その結果、治癒率というのもいろいろなケースがあるというのが実情です。また、「治る」というのもどこまでが「治った」と考えるのかで違ってきます。
たとえば、年齢層で20代~60代ぐらいまでの急性のぎっくり腰などは治しやすい症状ですので、ヘルニアなどの疾患をもっていなければ、だいたいのものはよくなる、「治った」と実感していただける症状です。
一方、70代の女性、長年の膝の痛みで膝自体変形してしまっているケースとします。症状は、夜ずきずきうずいてよく眠れない、うまく歩けない、階段の上り下りがつらいなどでお困りです。
こういう場合すべての症状を完全に「治す」ということはできません。
しかし、症状の一部分は「治せ」たり、症状を軽減できることは多いのです。ある程度の年齢になり、長年痛みがとれず困っていらっしゃる患者様ですべての症状を「治してください」という方はほとんどいません。「少しでもましに楽になればいいんです」という方が大半ですので、私のほうもいかに症状を軽減させるかに重きを置いて治療をします。そうせざるを得ないケースも日々の臨床ではよくあることです。
このように考えますと「治る」「治らない」の単純な二択ではないというのがご理解いただけると思います。
「治せる」ものはなるべく早く、完全に「治せない」ものは少しでも改善させて、「楽になった」と実感できる、そのように考えて治療にあたっています。