寝違え・首の痛み
寝違えとは
朝起きたら首が痛くて回らなくなっていたという経験は誰にでも1度や2度あることと思います。
寝違えの多くは起床時に発症し、夜寝るまではなんともなかったのに朝起きたら急に首~肩が痛かったというように発症します。前日までなんともなかった方と、そういえば、ここ最近肩や首のはりが気になっていたいう方がいらっしゃり、後者の方が、一般的に症状が重く、なかなか治らないという方が多いと思います。
変な格好で寝て一時的に首の筋肉を痛めたものであれば、2、3日で自然に治ります。ごくたまに寝違えるというのは誰にでもあることで、自然に痛みがとれるのであれば、あえて治療することもありません。
しかし、頻繁に寝違える、痛みもなかなかとれない、こういうケースでは寝違える原因が必ずあります。起こるべきして起こっているわけですから、その原因を取り除いていく必要があります。
体を寝違えない正常な状態に戻してあげるないと、またすぐに寝違える→少しよくなる→また寝違える・・の繰り返しになりますし、だんだんとひどい痛みになって現れます。慢性かつ複雑化した寝違えはそれだけ治すのに時間がかかります。
重症の寝違えになると首を回すことはおろか自分の首を支えていられないほどの痛みが出ます。痛みが非常に強く、座っていることも困難な場合はとりあえず、痛み止めなどを服用し、安静を保ち、痛みがある程度引いてから治療を始めたほうが安全です。
寝違えとりあえずの対処法
お風呂は入らないようにしてください。まず冷やすが基本です
寝違え起こした直後は筋肉が炎症を起こしています。この炎症を鎮めるために冷やすことが大切です。シップなどは体温ですぐ温かくなってしまい、効果が限定的です。
氷で冷やすと効果的です。氷で感覚が鈍くなるぐらいまで冷やしたら、感覚が戻るまで休みます。感覚が戻ったら、また冷やすの繰り返しを3回ぐらい行います。必要に応じて痛み止めなどを服用します。
あとは楽な状態で安静を保ちます。横になるときは、首に負担がかからないように横向きに寝ます。
寝違え直後のマッサージは避けたほうが無難です
痛みが強いときの患部へのマッサージは、炎症をさらに広げる可能性があり、避けたほうが無難です。痛みが強いときはなるべく患部から離れている部分、腰や背中などから治療を始め、痛みのある部分への負担を減らします。
腰?背中?と思われるかもしれませんが、人間の体というのはいろいろなつながりがあります。首も独立してあるのではなく、脊柱起立筋などの筋肉的なつながりや体幹のバランスの上に首が乗っかっています。腰や背部のバランスを調整し、筋肉の緊張を緩めてあげると、首の痛みもある程度は軽減することのほうが多いです。なかなか治らない、再発しやすい方ほど、首局所の問題だけでなく、体全体の問題(骨格的なバランス、筋肉的な問題)との関連を考えながら治療をしないとなかなかうまくいきません。
炎症をこれ以上広げないよう痛い部分(局所)をなるべく避けながら痛みの軽減を目指します。ある程度痛みが落ち着いた段階で首への治療を始めたほうが安全です。
ある程度痛みがとれてきた段階でのマッサージは有効な場合が多いです。
痛みが出る方向へは動かさないように
痛みが出る方向への動きは極力避けて生活してください。振り向くときは体幹ごと動かすようにして、首への負担を減らします。
寝違えの症状
寝違えの症状は、肩~首にかけての痛み、筋肉の強いこわばり感などで、動かすと痛みを伴いますので、首の動きが制限されることがほとんどです。
左右の片方どちらかに痛みが出ることのほうが多いですが、重症のものは、両方痛かったり、広い範囲に痛みが出てますが、手の痛みやしびれなどはないのが普通です。腕の痛みや手のしびれを伴う場合は、長年にわたり首肩の状態が慢性化しているか、頚椎のヘルニアの場合もありますので、より慎重な対応が必要です。
寝違え初期の強い痛みは、筋肉の過緊張と炎症によって起きていることがほとんどで、痛め方よって、首の動きが制限される方向が違います。
右に向くと痛い、前に倒せない、後ろに倒せないなどその症状により制限される方向も様々です。重症の寝違えはどの方向にもほとんど首が動かせない状態になります。
まれにですが、寝違えとともに、のどの前のほうに痛みが響いてしまい、痛くて唾を飲み込めない、深呼吸をすると痛くて息が充分吸えないというような状態になることもあります。
軽度の頚部椎間板ヘルニアでも似たような症状が出る場合がありますが、ここではヘルニアを伴わない、いわゆる寝違えの解説です。
寝違えの原因
寝違えの原因ですが、 首にむりな姿勢で寝たために一時的に首の筋肉を痛めたものから普段から首に負担がかかるような歪みや姿勢の問題があり、限界を超えて痛みが出たものまで様々です。
一時的に筋肉を痛めたものであれば、数日で自然に治りますので、問題はないはずです。
問題となるのは、頻繁に寝違えたり、治療を受けてもなかなかよくならないケースです。このような方は頚椎だけの問題ではなく、体全体のバランスにも問題がないかを探していく必要があります。いつも同じ側を寝違えるという方が多いのではないでしょうか。これは体のバランスに偏りがあるため、いつも同じ部分にストレスがかかっている場合によくあることです。
そういう方は、普段から背中や肩のはり感が強い、首が回りにくいなどの状態があったはずなのですが、そういう状態が続くと、なんとなくそれが当たり前になってそのことに慣れてしまうものです。慣れると鈍感になり、感じなくなることが多く、本人が自覚しないうちに状態は日に日に悪くなっていきます。
しかし、負担がかかっているという状態には変わりはありません。日々の負荷が知らず知らずのうちに積み重なり、限界に達した時、ある日突然発症するというパターンがほとんどです。ちょうどぎっくり腰を起こすときの発症のパターンによく似ています。慢性化した状態から発症するのに、さらにに大きな負担やきっかけは必要ありません。朝起きたら痛かった、後ろの振り向いたら痛くなったなどちょっとしことが引き金で強い痛みが出ます。
首はとてもデリケートな場所ですので、痛みが強い時は非常につらいものです。初回の施術はなるべく遠隔から始めます。腰や骨盤のバランス、背中の筋肉の緊張が緩むと首もある程度楽になります。
例えば、首を右に回そうとした時に、首だけを回そうとする人はあまりいません。実際にやってみるとわかりますが、左右に首を回した際には、首より下、肩や背中など体幹の動きのなかで首も回しているはずです。
とすると、とりあえず、直接を首を触らなくても、背中~肩などの体幹が左右に回旋しやすいように施術をしてあげれば、首の動きも少しは楽になるということになります。
最初にこのような施術をして、ある程度痛みが引いた時点で首への施術を進めていきます。
寝違えの治療
痛みが出た直後の筋肉は緊張状態にあり、炎症をおこしています。少し熱っぽく感じる時もあります。首の筋肉は硬く張ったような状態になっていますので、筋肉の異常な緊張をとってあげることが最初の段階です。過度の筋緊張が緩むと痛みはかなり軽減します。痛みが強いときの最初の数回は慎重に施術を進めます。炎症をさらに広げないようにどう痛みを緩和させるかが治療技術だと思います。
患者様の状態によって、どの手順で進めるかは当然変わってくるのですが、当院ではなるべく首の痛みとの関連がありそうな腰部や背部などの局所から遠い部分から施術を始めるようにしています。ある程度炎症や痛みが減ってきた段階で痛い部分への施術に入ったほうが安全だからです。
痛む部分への施術は必要最低限の処置にとどめ、腰~背中などの遠隔部分から施術を始める、はりなどを併用し、炎症を拡大させずに、筋緊張を緩める方法をとることが、寝違え直後の施術においては大切なポイントです。
体の屋台骨は腰、骨盤です。その上に背中が乗り、その上に、肩が、さらにその上には首が乗っかっているというのが基本的な構造です。土台である骨盤や腰椎に問題があると、それはやがて背中の問題になり、また肩や首の問題にも波及します。さまざまな問題の蓄積や関連性の延長上に現在の首の痛み(寝違え)があるわけですから、体全体のバランス、関連性を考えながら治療するのは当然ですし、それが今後の予防にもつながります。
首が痛いと首がだけに意識がいきがちです。確かに首も悪いのですが、そこはひとまず置いておいて、体を全体的な視点から診るなかで局所的な問題を解決していくように施術していくことが基本的な方針です。これは寝違えなどの症状に限らず、すべての症状に対しての当院の基本的な方針です。
治療は筋肉の過緊張を緩めてあげること、体全体のバランス的な問題を解消してあげることの二本立てです。骨をボキッとするような施術はしませんので、安心してお越しください。
寝違えの治療期間
寝違えといってもその程度は人それぞれです。単純な寝違えであれば、それほど時間はかかりませんが、頻繁に寝違える、なかなか治らないケースでは問題も複雑化していることが多いです。歯科治療を一緒で初期の早い段階で治療を始めれば、数回で終わるものが、慢性化・複雑化させてしまうと簡単には治りません。それなりの回数と時間をいただかなければなりません。
初回の施術で3割~うまくいけば半分ぐらいの痛みにすることが目標です。