橈骨神経麻痺は正しく施術していけば、ほとんどの麻痺は着実に改善していく比較的治しやすい症状のひとつですが、麻痺の施術法をきちんと確立できていないところが多いのか全国から患者さんがいらっしゃいます。
適切な対処もできないのに、橈骨神経麻痺を適応症に挙げ、結局治らずに、転医されてくる場合があります。当院HPを勝手にコピーして、自分の治療院の適応症に「橈骨神経麻痺」を掲げている治療院もいくつかあります。
きちんと対処ができ、患者さんを完治まで責任もって施術にあたれないのなら、適応症に挙げるべきではありません。患者さんにも不利益を与えますし、結果として治療開始が遅れた患者さんを診なければならない私にも迷惑な話です。
正しく治療院を選択していただくため、他から転医してきた患者さんから伺った話を含め、いい治療院の見極め方をご紹介します。
こんなときは要注意!
どういうふうに施術を進めたら治っていくかの説明がない。
麻痺を施術していくには絶対に欠かせないポイントがあります。きちんとした施術法が確立していないところでは、このように施術すれば、改善していくということがわかっていませんので、患者様に説明できません。
一回の施術ごとに施術前と施術後の状態を比較し、改善を確認しない。
麻痺レベル0の場合を除き、施術直後は、手首の動き、角度、力の入り具合などわずかでも改善が見られ、それを実感できるのが普通です。きちんと治療効果を出す自信がないところでは、それらの比較をしません。なぜなら、施術前と施術後の変化(改善)がなければ、その効果を疑われてしまうからです。
はじめて麻痺になった患者さんはなにもわからないのですから、「麻痺は時間がかかりますよ」「鍼灸は全身治療ですから」などと言っておけば、とりあえず無難です。
しかし、発症初期に適切な施術を行えば、施術後はわずかでも改善することのほうが圧倒的に多いのですから、施術前の状態、施術後の状態を患者さん自身が実感できるように比較をし、体感してもらえるように施術をし、今後の道筋を説明することは施術家として当然のことだと思います。
多くの方が橈骨神経麻痺という今まで聞いたこともない症状にかかり、初めての経験で「ご自分がいま受けている治療は適切なのか?」を判断することは難しいと思われるかもしれませんが、そんなに難しいことはないと思います。
このページをいまご覧の方は、予備知識を得ているわけですから、施術を受ける前の状態と施術直後の状態をご自分で比べてみればいいのです。施術前と施術後直後に改善の変化がでれば、それは施術の効果です。直後に変化がなければ、その施術自体を疑わなくてはいけないと思います。
橈骨神経麻痺はその施術法さえ間違わなければ、直後に成果の出やすい症状です。その変化を確認さえしないようであれば、そこは技術がないと考えて間違いありません。施術直後にきちんとした結果を出すには、それだけの技術がないと絶対にできませんので、これを指標にするのが一番間違いない治療院選びの決め手です。
握力を測定しない
握力はすぐには回復しません。回復が見られるのは治療中盤~後半にかけてですが、客観的なデータを積み上げるという意味で握力測定も必須です。
何回通院すれば治ると具体的な回数に言及する
大体の治療の目安はお伝えできますが、具体的に何回と言明できるものではありません。
シーネで手首を固定する
シーネ、包帯での常時固定は回復を遅らせます。3万円以上もするオーダメイドの装具を作ってくる患者さんもいらっしゃいますが、全く必要ありません。必要なときだけ、自分で取り外し可能なサポータなどを使うのは構いません。薬局などで売っているもので十分だと思います。
いい治療院が見つからない時
本来はご自宅に近くで信頼おける治療院を見つけることが一番ですが、どうしても見つからない時、治らないときは、遠方からでもご相談ください。
通院時間が2時間以内ぐらいまででしたら、その日の夜に1回、当地で1泊、翌朝に1回、計2回/週の施術で対応できます。
それ以上遠方の場合は、可能な日数を連泊し、集中的に施術し、自宅ではリハビリをしていただくことで回復基調に乗せることが可能です。遠方の方の場合、通院がどうしても限られますので、自力で治っていくだけの回復力が出るまで治療し、あとは自宅でリハビリに励むという方法が現実的です。
いずれにしても発症から時間が立ちすぎると、なかなか治らなくなり、限られた施術回数での対応が難しくなります。しばらく様子みて、改善の兆しがない場合は、なるべく早くご連絡ください。